クワガタムシの上手な育て方クワガタムシの上手な育て方

クワガタムシを育てる前に「クワガタムシを研究しよう!」

クワガタムシの一生
  • 卵
  • 一齢幼虫
  • 二齢幼虫
  • 蛹化
  • サナギ
  • 羽化
  • 成虫

幼虫の飼い方

幼虫飼育の方法

幼虫飼育の方法には3つの方法があります。

  • 1.菌糸ビン飼育
  • 2.材飼育
  • 3.マット飼育
それぞれのメリット、デメリットは以下の通りです。
飼育方法 マット飼育 便利さ 期待度 工夫度 飼育期間 観察性 安全性
菌糸飼育 1年以内
材飼育 1~2年 ×
マット飼育 1~2年

それぞれのメリット、デメリットは以下の通りです。

菌糸飼育
マット飼育
便利さ
期待度
工夫度
飼育期間 1年以内
観察性
安全性
材飼育
マット飼育
便利さ
期待度
工夫度
飼育期間 1~2年
観察性 ×
安全性
マット飼育
マット飼育
便利さ
期待度
工夫度
飼育期間 1~2年
観察性
安全性

菌糸ビン飼育

クワガタムシの幼虫が、カワラタケ、ニクウスバタケ、シハイタケヒラタケなどの自然発生した腐朽木から多く得られることから、これらの菌を人工的に殖菌させ、ビンに詰めたものです。現在では、さまざまなメーカーから優れた製品が市販されています。
今日のオオクワガタ飼育が普及したのも、菌糸ビンの開発があった事が大きいと思われます。材・マット飼育により70mmを出すにはかなりの苦労があったものが、初心者でも比較的容易に出せ、近年では80mmを超えるサイズを出せるようになってきました。

菌糸ビンとは

オオクワガタの幼虫は自然界ではキノコ菌(白色腐朽菌)によって腐朽した立ち枯れの木などによく見られます。そこで、適度な栄養添加物を混入した広葉樹の微粒子マットをビンに詰め込み、オオクワガタの幼虫が好むヒラタケ菌(オオヒラタケ)などを植菌、幼虫にとって最高の環境を作り上げたものです。

菌糸ビン飼育を行う手順

菌糸ビンの購入

信用できるメーカーのものを使用する。
(一年中安定して供給されている事。成虫になるまでに2~3本必要な為、途中でメーカーを変えてしまうと環境が変わり死んでしまう可能性が非常に高い為。)

飼育のために用意するもの

菌糸ビンを用意できたら、1本目を一齢中期から二齢中期くらいまでの間にセットします。

幼虫の入れ替え

菌糸の白い部分が5~8割食い破られたら新しいビンへ交換しましょう。(交換のタイミングは個体差もあるが2~3ヶ月が目安)
スプーンで幼虫を傷つけないように掘り出すこと。

菌糸ビン飼育の注意点
  • 1匹に対して1本必要
  • 蓋をむやみに開けないこと(雑菌の侵入を防ぐ)
  • 直射日光の当たらない暗く涼しい場所で保管をすること(クーラー等で温度をコントロールする事が望ましいが20°前後であれば比較的問題は無い。夏期の高温はビンの劣化につな がるので28°以上での飼育は危険)
  • ビンの交換時に、ビンの蓋及びスプーンを60%アルコールなどで消毒をすること(カビ、雑菌の侵入を防ぐ)

材飼育

昔から行われてきた最も自然に近い飼育方法です。クヌギなどの材に直接幼虫を入れて飼育します。材は栄養分が低いため、通常1年1化で成虫になるのに対し、1年半から2年1化で成虫に育て上げるように温度コントロールしなければなりません。近年は上質な材の入手が困難なこと、内部が観察できないこと、時間がかかることなど、難しい面も多いが材飼育で成長したクワガタムシは独特の体型と格好で人気があります。

マット飼育

マット飼育のために用意するもの
  • 飼育ケース(空き瓶などの蓋に2~3mmの通気孔を2~3箇所あけたものを幼虫1匹につき1ビン用 - オオクワ・ノコギリ・ヒラタ・ミヤマクワガタの場合/800ml以上、コクガワタ・  スジクワガタの場合/200~500ml位のサイズのもの)
  • レポート用紙(通気孔からのハエ・ダニの進入を防ぐ。市販の防虫シートもOK)
  • 昆虫マット(市販の昆虫マット。大鋸屑は使用不可)
  • すりこ木棒(飼育ケースの中にマットを詰めるときに使用)
  • やかん(市販マットを、初めに湿らせるときに使用)
  • 幼虫(オオクワガタのように販売されている幼虫を購入するか、自分で産卵させたもの、または採集してきたものの3タイプ)
飼い方

空き瓶の中にすりこ木棒などを用いて適度に湿らせた新しいマットを2/3位しっかり詰めます。残り1/3に、これまで飼育してきた材または採集してきた材の破片を入れます。真ん中に少しあけた穴に二齢幼虫を置くと、数分で中に潜っていきます。マットと蓋の間を3cmぐらい開け、瓶と蓋との間にはレポート用紙をはさんで蓋を閉めてください。幼虫にストレスがかからないよう、瓶の回りを黒い紙で覆っておくと観察するときにも便利です。

飼育場所

あまり温度変化のない場所で、あまり動かさないことが基本です。

日々の世話

瓶のサイズや温度、幼虫のサイズなどによりさまざまですが、約2~3ケ月後にはマットがパウダー状になります。大きな空洞部分ができたら、エサの交換時期です。再度同じ方法で詰め直しましょう。これらの作業を繰り返しますが、幼虫を扱うときは慎重に。三齢幼虫後期になってくると体色が黄色くなってきます。この時期以降のマット交換と移動は避けましょう。

成虫の飼い方

飼育のために用意するもの
飼育のために用意するもの
  • 飼育ケース(昆虫用プラケースや水槽がおススメ。種類別・1ペアごとのケースサイズの目安は、コクワガタ・スジクワガタが小型~中型のプラケース。ノコギリ・ミヤマ・ヒラタ・オオクワガタは中型~大型プラケース)
  • 昆虫マット(市販のかぶと虫用腐葉土かクヌギの朽ち木を砕いたもの。大鋸屑は使用不可。また、ノコギリ・ミヤマクワガタの繁殖には園芸用の『黒土』が最適)
  • 霧吹き(マットを湿らせるときに使用)
  • エサ台、のぼり木(大型のクワガタの場合はのぼり木や落ち葉などを入れておくと良い)
  • エサ(市販の昆虫用エサやリンゴ・バナナなどの果物。かぶと虫に比べてかなり長生きする場合があるので栄養価の高いものがおススメ)
  • 産卵木(市販のクヌギ・コナラの産卵木は乾燥しているので半日ほど水につけてから半日陰干ししたものを使用)
  • 成虫(通常オス・メス1つがいが理想的。ケースが大きい場合はメスの数を増やしてください。オス同士の場合は弱い方が殺されてしまいます。種類によってはオス・メスの組合せでも危険な場合があるのでペアリング後は別々に分けること)
飼い方
  • 飼育のために用意するもの
  • 飼育ケースの底に約3~5cmの昆虫マットを敷き詰め、その上に産卵木を2~3本入れてください。乾燥を防ぐために産卵木の半分ぐらいを昆虫マットの中に埋めましょう。エサ台やのぼり木などでレイアウトしたケースにペアを入れておきます。エサ場でいっしょにいたり、産卵木の裏側で共に潜んでいればペアリング終了の合図です。
    1ケ月ほど経過し、産卵木がボコボコに削られているとメスが産卵している可能性があります。削られた産卵木は別のケースに取り出し乾燥させないように埋めておき、新しい産卵木と交換しましょう。取り出してから1~2ケ月後には二齢幼虫になっています。マイナスドライバーなどで慎重に割り出し、幼虫ケースに入れるまでの間、1匹ずつフィルムケースなどに分けておいてください。マットや産卵木は乾燥禁物。ときどき霧吹きで適度湿らせましょう。オオクワガタ、コクワガタ、ヒラタクワガタなどは、越冬するので、家の中でも温度変化の少ない玄関などで飼育することをおすすめします。また、蓋との間にビニールに穴をあけたものをはさんでおくと乾燥防止になります。冬眠している間も、暖かい日には活動するのでエサを入れておくのを忘れずに。